2年前に開催した10周年コンサートでのこと。

たくさんのアンケートの中に、裏までびっしりと書かれた１枚がありました。

そこには、

小学生のお子さんを交通事故で亡くされたこと

何年も時が経っても埋められない思いがあるということ

そんな心に、私の歌が届いたという

それは印象的な１枚でした。

それから数ヶ月、

ある心のケア活動を行うセンターの曲を作ってほしいという依頼が届きました。

「犯罪被害者支援センター」

事件や事故など

犯罪被害に遭われた方の心のケアをしていく、全国にネットワークのある

警察と連携した心のケアをするセンターで、

私も、その存在を初めて知りました。

＜福井被害者支援センター　https://www.fvsc.jp　＞

そして、そこで支援員として活動されている方が

10周年コンサートに来てくれた、その方だと知ったのです。

しかし、ご相談を頂いてしばらくは正直迷いがありました。

私の経験では想像しえない思いに向き合えるだろうかと。。

そんな私に資料としていただいた「遺族の手記」。

社会的にもまだまだ被害者ばかりがつらい思いをしている現状、

こうしている間にも、日々犯罪は起こり、悲しむ当事者やご遺族が

やり場のない思いに苛まれ続けていること

そんな日々と戦いながら、生きていこうとしている人たちがいる。

その経験を経た方の一人が、私の歌を求めてくれたのだと思うと

「この人のために書こう」と心が決まりました。

涙しながら遺族の手記を読み終え、気づけば3曲を書き上げていたのですが

一番、センターからのメッセージに近い

「こころの声」という曲を選びました。

初めて聞いてもらった時のこと。

「マスクで良かったです」とぐしゃぐしゃになって笑ってくれたことは、

今思い出しても胸が熱くなります。

（学校講演など活動されている被害者支援センターの宮地さん）

犯罪被害者へのケアは日本は４０年ほど後進だそうで

自身へのカウンセリング利用も、欧米から比べると格段に少ない日本。

一方SNSでは、個人の言葉が飛び交っている毎日ですが、

本音をためらい、窮屈な思いをしているのは

悩みを抱える人だけではないはずです。

そんな言葉の波の中で

厳しい一日一日を積み重ねている人たち。

そんな逃げ場であり、共に歩める場所でありたいと

待っている人がいる場所があることを

少しでも伝えられたら。

そして、つらいときに、つらいと言える。

それを受け入れる社会であって欲しい。

ただでさえ、みんな、つらい日々がある人生。

これ以上、人が人を傷つけない世界であってほしい。

被害者やその遺族だけなく

その周りにいる私たちすべての人へ

少しでも、この歌が届くように願っています。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

ふくい犯罪被害者支援のうた「こころの声」

作詞・作曲　歌　ヒナタカコ

編曲 　野上朝生　

Mix＆Mastering　北城浩志

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

追って、CDが被害者支援センターのサポーターの方々へ配布となります。

（会員でない方も入手可能ですので、また詳細は追ってお知らせします）

＜ふくい被害者支援のうた「こころの声」CDジャケット/来月中旬配布予定＞

イラストを書いてくれたのは　

福井県あわら市のイラストレーター、つだんぼさん。

こころに穴を抱えたくま「あなぐま」の切なくもあたたかい絵本形式で、

この曲にピッタリのストーリーが描かれています

つだんぼさんを知ったのは一年前。

コロナの影響で急遽開催となった地元ゆかりのアーティストの展覧会でした。

そこで見た絵本のあたたかさに、いつか一緒に何かしたいと思っていましたが

１年後に、こんなにピッタリのストーリーとイラストでコラボできるとは感無量でした。

映像編集はカメラマンで編集でもいつもお世話になっている砂田竜吾さん。

素敵な感性があり、この曲はきっと感じてくれると相談すると

「実写よりイラストなどのほうが・・」と、つだんぼさんへのきっかけとなりました。絵本らしく、より豊かな映像つくりをしてくれました。

点が線になって輪になることを感じた今回の制作。

これからも、ひとつひとつの出会いを大切に

思いを込めて、作り続けたいと思います。